「パスポート保有率わずか17%」の衝撃

データが明かす、日本人の海外旅行をめぐる5つの意外な真実

導入部:最強パスポートの国の奇妙な現実

正月を海外で過ごす人も結構減ってしまってるかもしれません。友人たちも国内で過ごす人が多い気がします。私自身も元旦からPCの前で仕事?ですかね?さて、そんな中で今回は海外旅行とパスポートネタです。

日本のパスポートは、ビザなしで渡航できる国・地域の数で常にトップクラスに君臨し、「世界最強」と称されています。多くの人が、このパスポートさえあれば世界中を自由に旅できる、そんなイメージを持っているのではないでしょうか。

しかし、その輝かしい評価とは裏腹に、驚くべき事実があります。2024年末時点での日本のパスポート保有率は、わずか約17.5%。これは、国民のおよそ6人に1人しか有効なパスポートを持っていない計算になります。

「世界最強」の通行証を持ちながら、なぜ多くの日本人は海外へ旅立たないのでしょうか?この記事では、最新データを深く掘り下げ、日本人の海外旅行をめぐる5つの意外な真実を解き明かします。

読むのが面倒な方は関連動画をどうぞ!https://youtu.be/7dJ_YPz1TIc

1. 「世界最強」なのに誰も持っていない?パスポート大国・日本の驚くべき実態

日本のパスポートが持つ「力」と、その「普及率」の間には、驚くほどの大きなギャップが存在します。

まず、その「力」について。イギリスのコンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズ社のランキングではビザなしで189の国・地域に渡航可能とされ、別の調査では194カ国・地域と評価されるなど、世界で最も信頼性の高いパスポートの一つです。文字通り、世界への扉を開く「最強の鍵」と言えるでしょう。

しかし、その強力さとは対照的に、2024年末時点での有効パスポート保有率は約17.5%に過ぎません。これは国民のおよそ「6人に1人」という水準です。この数字は、アメリカ(約50%)、ドイツ(約80%以上)、近隣の韓国(約40%)といった他の先進国と比較しても際立って低く、日本の構造的な「海外離れ」を浮き彫りにしています。

この奇妙なパラドックスは、専門家の間である一つの比喩で語られています。

日本のパスポート保有状況は、「世界中の高級レストランに入れる『無料のプラチナ会員証』を持っているのに、財布の中身(実質賃金)が心もとないために、近所の慣れ親しんだ食堂(国内旅行)で済ませたり、グルメ番組(SNS)を見て満足したりしている状態」に例えられます。


2. 回復するアジア、乗り遅れる日本。データに見る「海外旅行」の地域格差

パンデミックを経て、世界の旅行市場は回復基調にありますが、日本の回復ペースは特にアジア近隣諸国と比較して著しく遅れています。

2024年の日本人海外旅行者数は1,300万7千人となり、5年ぶりに1,000万人の大台を回復しました。しかし、コロナ禍前の2019年と比較すると、依然として35.2%減という低い水準に留まっています。

対照的に、韓国と台湾のアウトバウンド(海外旅行)需要は、すでに2019年比で99%の水準まで回復しています。このデータは、東アジアという同じ地域の中でも、日本の回復の遅れが鮮明であることを示しています。この回復の遅れは、日本の旅行業界が国際的な競争から取り残されるリスクだけでなく、国民の国際感覚の鈍化という、より深刻な課題を示唆しています。

この全体的な回復の遅れの中で、唯一の例外と言えるのが特定の層の動きです。データは、意外な救世主の存在を指し示しています。


3. 市場の停滞を打ち破る、20代女性という「特異点」

停滞気味の海外旅行市場ですが、その中で一筋の光となっているのが、意外にも「20代の女性」です。彼女たちが、現在のマーケットを力強く牽引しています。

2024年のデータを見ると、20代女性の出国率(同年代の人口に対する旅行者数の比率)は29.4%に達し、他のどの性別・年代層と比較しても突出して高い数値を示しています。

この傾向は、パスポートの発行数にも明確に表れています。2024年の一般旅券発行数を見ても、女性が全体の55.2%を占め、さらに30歳未満が48%を占めました。この層が、新しい海外旅行の需要を創出しているのです。

一方で、かつて海外旅行市場の主役だった30~50代男性の出国者数の伸び悩みも浮き彫りになっており、世代間で海外旅行に対する意識や行動に大きな地殻変動が起きていることが見て取れます。


4. 「円安だから行かない」は本当? 為替を気にしない若者たち

「記録的な円安が海外旅行の足かせになっている」という見方は一般的ですが、JTBの調査によると、この通説は特に若年層には当てはまらない可能性があります。

調査では、30代以上の層で「円高になったら行きたい」と回答する人が多く、為替レートを旅行計画の重要な判断材料と見なしている傾向が明らかになりました。

それとは対照的に、若者の意識は大きく異なります。

  • 30歳未満の男性では、合計45%が「為替レートに関係なく行きたい」「1ドル150円以上でも行きたい」と回答。
  • 30歳未満の女性では、44%が「為替レートの適正がわからない、考えたことがない」と答え、さらに合計30%が「為替レートに関係なく行きたい」「1ドル150円台でも行きたい」と回答しています。

これらのデータは、若年層が現在の為替レートに対して上の世代ほど抵抗感がなく、自身の興味や関心を優先する価値観を持っていることを示唆しています。この世代間の意識の断絶は、今後のマーケティング戦略を考える上で極めて重要な示唆を与えます。


5. パスポート取得に「補助金」も。国を挙げた異例のキャンペーン

深刻化する日本人の「海外離れ」に対し、政府や旅行業界も強い危機感を抱き、具体的な対策に乗り出しています。

2024年3月、観光庁と日本旅行業協会(JATA)は共同で「もっと!海外へ 宣言」を発表。官民一体となった大規模な海外旅行促進キャンペーンを開始しました。

その象徴的な取り組みが、パスポート取得費用のサポートです。JTB、H.I.S.、エアトリといった大手旅行会社をはじめとする多くの企業が、パスポートを新規で取得する人を対象に、最大で10,000円相当の割引やポイントバックを提供するキャンペーンを実施しています。国を挙げてパスポート取得費用を補助するのは異例の事態であり、それだけ現状が深刻であること、そして対策への本気度がうかがえます。


まとめ:データが示す日本の新たな旅のカタチ

データが描き出すのは、かつての姿とは全く異なる日本の旅の現実です。「世界最強」と謳われるパスポートは、多くの国民にとって宝の持ち腐れとなり、アジアの活況から取り残される日本の姿が浮き彫りになりました。しかし、その停滞を打ち破るかのように、20代女性が市場を力強く牽引し、円安という逆風をものともしない若者世代の新しい価値観が芽生え始めています。この動きに呼応するかのように、国や業界も異例の支援策を打ち出しており、日本の海外旅行は今、大きな転換点を迎えています。

このまま海外への関心が二極化していく中で、日本の国際競争力はどうなっていくのでしょうか。それとも、若者たちの新たな価値観が、未来の日本の姿を形作っていくのでしょうか。データが示す変化の兆しは、私たちに静かな問いを投げかけています。

ではでは、Enjoy your life

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